整形外科 診療科案内一覧へ戻る
戻る 次へ
◆疾患と症例◆
先天性股関節脱臼
1-1 発生頻度
我が国での発生頻度は約1000人に1人とされています。漸減傾向にあるとされていますがここ数年は横ばい状態です。当院では開院以来800人以上の未整復の脱臼の患者さんを治療してきましたが最近は先天股脱の新患は年間で約20人くらいです。
1-2 臨床所見
ほとんどの患者さんは乳児期に股関節の開排制限を指摘され来院されます。稀に処女歩行開始後に歩容異常で脱臼が判明することもあります。
1-3 予防方法
一般に新生児期には脱臼は確定しておらずこの時期に下肢を伸展させたり開排を減ずるような肢位をとらせることで脱臼が確定するとされています。また重要な因子として顔の向き癖があります。赤ちゃんは大人にはない反射があり顔を向けてる反対側の股関節の開きが悪くなる傾向にあります。実際片側性脱臼の多くは顔を向けてる反対側が脱臼しています。顔を左右まんべんなく向けることをお勧めします。また開排制限のある児に布おむつを厚めに当てる指導をされる先生がおられますが、最近はこれがかえって下肢の動きを妨げ悪影響を与えるとされています。当院においては股関節にはちょっと大きめの紙オムツが望ましいと指導しています。
1-4 診断
単純X線所見、臨床所見、超音波所見などによりその診断は容易です。また完全脱臼にまでは至らないものの亜脱臼、臼蓋形成不全などの診断も可能です。
1-5 治療方針
基本的に先天股脱は歴史のある疾患ですのでその治療に関しても様々な意見があると考えて下さい。ここでお示しするのは当院における治療方針です。
1-5-1 RB(リーメンビューゲル法)
乳児期の初期治療としてほぼ全例にこの方法による整復を試みています。当院での脱臼の整復率は約85%です。愛護的に股関節を整復する方法として広く受け入れられている方法ですが、問題点として稀に大腿骨の骨頭を痛めてしまうことがあります。装具をきつく装着しないこと、患児が激しく泣くときには一度除去するなどの配慮が必要です。
1-5-2 牽引療法

RB不成功例、あるいは乳児期以降に発見された先天股脱に対して行います。これも様々な方法が報告されていますが我々はまず1週間水平牽引を行い、次の1週間は開排位で牽引を行います。その後全身麻酔下に徒手整復を行いその安定性、および同時に行った関節造影の所見を参考にギプスを巻くかどうかを判断します。当院での整復率は約80%です。

1-5-3 観血的整復術

前述した保存的療法で整復の得られない症例、および未治療の年長児に対して適応となります。整復障害因子となっている関節内外の問題点を観血的に治療します。

1-5-4 遺残亜脱臼、臼蓋形成不全に対する治療

脱臼整復後に残存する亜脱臼、臼蓋形成不全を放置すると二次性の変形性股関節症の原因になり得ます。よって関節の発育をより正常のパターンにのせるために補正手術が必要になる場合があります。代表的な手術方法としてソルター骨盤骨切り術があります。当院では現在までに300件以上のソルター骨盤骨切り術を行い良好な成績を得ています。

このページのトップへ戻る 戻る 次へ