小児外科 診療科案内一覧へ戻る
戻る
8)重症心身障がいを持つ方への外科治療

呼吸・栄養管理など、さまざまな問題を抱えながら生活をしておられる方のQOL(生活の質)を少しでもよくするために、手術治療を行っています。

胃食道逆流症=GER(gastroesophageal reflux)に対する噴門形成術
重症心身障がい児、先天奇形の術後患児(食道閉鎖症、横隔膜ヘルニアなど)、食道裂孔ヘルニアで認められる症状で、胃内容が食道内に逆流することにより、食道炎や、食道狭窄、呼吸器疾患、無呼吸発作、成長障害などをひきおこします。なかでも、重症心身障がい児に発症したGERは難治であることが多く、積極的な治療を必要とする場合が少なくありません。手術の適応は、上部消化管造影検査、24時間pHモニタリング、臨床症状で決定します。当院ではGERに対する手術を年間25〜30例行っています。手術は主に腹腔鏡で噴門形成術を行っています。通常のNissen法(胃底部を授動して食道の全周に襟巻き状に縫着する)の他に、もともと経口摂取が可能な方に対しては食道の約4/5周を被覆するToupet法を行っています。重症心身障がい児の術後再発率は高いと報告されていますが(再発率:〜40%)、当院では形成した噴門の固定をしっかり行い良好な成績を得ております(再発率:4%)。

栄養管理目的の胃瘻造設術
胃瘻の造設は、摂食障害のある患者様に対して行っています。特に重症心身障がい児で施行されることが多い手術です。このような方は 側彎や長期臥床に起因する胃や腸管の位置異常が認められることが多いことより、当院では小開腹して胃を確認したうえで適切な位置に胃瘻を造設する方法で胃瘻造設術を行っています。

気管切開術、喉頭気管分離手術
呼吸障害の原因は患者様により様々ですが、チューブによる気道確保が必要な場合や、あるいは痰の吸引処置が必要な場合など、気管切開管理にて呼吸が楽になることがあります。

また、嚥下障害がある場合、口の中の唾液がそのまま気管の中に流れ込み(誤嚥)、重い肺炎を繰り返す原因になりますので、痰の吸引処置では追いつかない高度の誤嚥に対しては喉頭気管分離手術を行うことがあります。喉頭と分離されるため声帯を使って声を出すことが不可能になりますが、誤嚥性肺炎のリスクがなくなり、嚥下訓練を進めることができるようになります。

いずれも、前頚部から気管内にチューブが留置された状態になります。気管内分泌物の吸引処置、ガーゼ交換、固定のひもの交換、入浴時の注意など、一般に医療的ケアと呼ばれる特別な管理が必要です。当院では医師と看護スタッフによるご家族への気管切開管理指導を十分に行い、在宅医療をサポートしています。

腕頭動脈離断術
気管切開あるいは喉頭気管分離手術をうけ、気管の中にチューブを留置して生活している方の中には、胸郭のかたちや筋緊張などいろいろな要素が加わって、気管の前壁にチューブが常に当たることによって炎症を起こし、気管の前に接している腕頭動脈と呼ばれる動脈との間に瘻孔をつくり、ある日気管内から大出血を起こすリスクを抱える方がおられます。この大出血を起こすと、救命は非常に困難です。我々は、胸部造影CTで気管・気管チューブと動脈の位置関係を確かめ、気管支ファイバーで気管内腔の状態の確認を行い、チューブ先端の位置に肉芽や動脈性の拍動を認めた場合を高リスクと判断しています。気管のチューブを調整してもリスクが解決できない場合には、予防的な外科手術として腕頭動脈離断術を考慮します。ただし、腕頭動脈離断により頭部の血流が乏しくなる可能性があるので、頭部の血管を画像検査でチェックし、手術のメリットとデメリットを十分比較検討して手術適応を決定します。手術は心臓血管外科医と合同で行っています。

このページのトップへ戻る 戻る