| 社会が大きく変化する中で、こども病院のもつ役割、こども病院への期待の大きさを、これまで外部からみているだけでしたが、これからは自らが医療者の中心として実践していく立場となり、その責任の重大さに身の引き締まる思いがいたします。
三十三年の歴史により培われた兵庫県立こども病院の良き伝統を守ると共に、新しい社会的ニーズに対応できる医療活動を展開できればと考えています。
今日の医療に一番求められているのは、「安心」と「信頼」の医療です。
IT化が進み、医学情報をだれもが容易く入手できるようになり、今や医療は医療者だけのものではなくなりました。医療情報の開示、提供を通じて、患者の利益を一緒に考え、実践していく姿勢が大切です。医療のIT化といえば、ともすれば非常に冷たい響きがありますが、「安心」と「信頼」に最も大切なのは人間関係、人と人の情報のやりとりです。絶えず情報の行き交う、透明性のある職場こそ、「安心」と「信頼」の医療を展開できる第一歩です。患者様に満足していただける職場づくり、それには職員が満足して働ける職場でなければなりません。
乳幼児の死亡率の低下した今日、小児医療に対する社会のニーズは、大きく変化しています。
昨年10月から,本院は三次小児救急医療施設として機能しています。少子化社会にあっては,救急医療施設の充実は,安心した子育てに不可欠です。小児救急医療の中核施設として,兵庫県下の医療機関と連携を保ちながら,県民の期待にお応えしなければなりません。
疾病中心の小児医療から予防重視の医療へと、また、疾病をもつ小児では、大人の医療とは異なり、例え疾病を持っていても、その後の長い人生での社会生活を豊かなものにするための工夫が大切です。小児医療は退院すれば終結するものではなく、家庭に、地域に帰ってからのケアが不可欠であり,指導相談部を充実させてトータルケアを目指したいと考えています。
成育医療という概念が出てきたのも、このような時代背景があるからです。これからのこども病院には、単に小児期だけではなく、思春期を含めて、疾病をもつ子ども達が健やかに成人し、社会の一員して生き甲斐のある生活ができるように見守り、保障していく責務があると考えています。
「こどもは未来の宝」とよく言われますが、社会は、往々にして大人中心の考え方で進んでいます。戦争、貧困で一番被害を被るのはいつも子ども達です。経済成長下においても,子どもたちが自由に,伸び伸びと生活できる空間は奪われています。
こども病院は、「子ども達を守る砦」であるとの考えで、子ども達の視点で物事を判断する姿勢を職員全員が絶えず持ち続け,子どもたちに夢のある世界を創ろうではありませんか。
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